プロジェクトストーリー

PROJECT story

  • 翔けるプロジェクト
なぜ、葬祭用品メーカーが〈もなか〉を販売?これが思っていたよりすごかった。

なぜ、葬祭用品メーカーがもなかを…?

ずっと会えていなかった、私のおばあちゃん。 コロナ禍だった年に、私は祖母を亡くしました。

コロナウイルスの流行という特殊な状況に加え、祖母の住んでいる地域が遠方だったこと、娘がまだ生まれたばかりだったことなどが重なり、四十九日の法要どころかお葬式にさえ出席できませんでした。

そしてそのまま、祖母が亡くなったことに対する「自分の気持ちの整理」も、「祖母へゆっくりと想いを馳せること」もできずに、育児と仕事に追われながらズルズルと過ごしてきてしまいました。

そんなある日、サンプル作成中だった〈雲もなか〉。
一緒に体験してみる?と声をかけてもらい、お昼の休憩時間にもなかを作ることになったのです。


「もなかを作るだけで、そんな簡単にいく?」

〈雲もなか〉は、もなかをつくる時間で、”故人へ想いを馳せ、今を生きる希望をひきだす“体験ができる商品です。

「おもう」「つくる」「たべる」——3つの工程で進めていきます。

まず、故人を思い浮かべながら、思い出や人柄をイメージして白あんに色をつけます。 次に、その色をつけたあん(=故人への想い)を、雲の形をしたもなかにのせます。 最後にそれを食べることで、想いを自分の中に取り込み、生きるエネルギーに変えるきっかけにするのです。

このもなかについての説明を聞いたとき、正直こう思いました。
「もなかを作るだけでそんな簡単にうまくいく?」と。

半信半疑なまま、社員6名が集まり体験が始まりました。


おばあちゃんを思いながら作ったもなか

私の祖母は背がとても高く、ショートカットでかっこいい雰囲気の人でした。

近所の小さな海岸へカニを探しに行ったり、暑い日には移動販売のアイスを買ってもらったり、家の周りにたくさん飛んでいたシオカラトンボを一緒につかまえたり…たくさん聞こえるセミの声、じりじりとした暑さ、おばあちゃんのサンダルとタンクトップ、いろんな記憶が頭の中をめぐっていきます。

おばあちゃんとの思い出が「夏」の場面ばかりだったこと、おばあちゃん自身がかっこいい人だったことから、私があんにつけた色は〈青〉になりました。

色をつけながら、自然と祖母との時間を思い出していました。 自分の中でずっと蓋をしていた「おばあちゃんの死」に、初めて落ち着いて向き合えた気がしたのです。

これまでは忙しいことを理由に、祖母が亡くなったことにしっかりと向き合ってきませんでしたが、振り返って考えてみると、私にとっては「自分の頭の中だけで祖母の事を考えるのが辛すぎた」のかもしれません。そのため、こうして「あんに色を付けて祖母との思い出を表現する行為」をすることで、落ち着いた気持ちで祖母を想うことができたのではないかと思います。


それぞれの“想い”が色になって、並んでいく

皆が作ったあんは、黄色やピンク、緑などさまざまな色に染まり、雲もなかができあがりました。

誰かが促したわけでもなく、自然と会話が生まれました。 「なんでその色にしたの?」「誰のことを想って作ったの?」「素敵なおじいちゃんだね」

その場にいた全員が、自分の大切な人に想いを馳せていたのだと思います。


食べることで、気持ちが整っていく

そろそろ食べてみる?と、作りたてのもなかをぱくっ。

“のせたて”なので、もなかがあんの水分を吸っていなくてサクサクとして、とてもおいしかったのを覚えています。

そして不思議なことに、おばあちゃんのことを想いながら作ったこの〈雲もなか〉を食べることで、「自分の気持ちの整理」も、「祖母へゆっくりと想いを馳せること」もできたという気持ちになれたのです。


死をイメージする“色”

「死」や「別れ」は、できるだけ考えたくないもの、タブーとされがちです。 色で連想するなら「黒」や「グレー」と答える方が多いのではないでしょうか。私も以前はグレーのイメージを持っていました。

しかし、今回おばあちゃんとの死別について「しっかりと向き合い、考えた」ことで、私の中で別れをイメージする色は〈青〉が強くなり、必ずしも暗いものではなくなりました。

雲もなかは一つのツールとして「死」や「別れ」を自分なりに受け止め、向き合い、色を変えるきっかけとなるのかもしれません。。


最後に

正直、始める前は「もなかを作るだけでそんな簡単にうまくいく?」と疑っていました。
体験を終えた今は、ぜひ一度手に取っていただき、誰かのことを想って作ってみてほしいと思っています。

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